コラム「紙と生活」

このコラムでは毎回、日頃の生活で目にする紙の印刷物について取り上げます。
その紙が私たちのライフスタイルの中でどのような存在なのか、
また今後どのようになっていくのかをトレンドやデータを元に様々な視点で考察するコラムです。

最近、「エシカル」という言葉をよく耳にするようになりました。一般的にエシカルとは「倫理的な・道徳上の」という意味で、環境配慮だけにとどまらず、生産者やその歴史的背景など、さまざまな要素への社会貢献を含んでいるのだそう。 今回は「エシカル+紙」をテーマに2回に分けて取り上げようと思います。まず第一回目はショッピング紙袋にみるエシカルな流れを見てみます。

ショッピング紙袋にみるエシカルな流れ

ショッピングバックのトレンドはエシカルへ

「エシカル」…、この概念を早くから採り入れたのはファッション業界です。それはオーガニックなど素材の選定に始まり、途上国での買い付け、フェアトレードによる流通などの活動に代表されます。このファッション業界と切り離せないのがショッピングバック。お店にとってショッピングバッグはそのブランドを表現したもの。それだけにどんな紙素材が使われているかも重要になってきます。

ではそのトレンドを押さえておきましょう。例えばフリルでいっぱいのかわいいブランドは、キラキラと鮮やかなピンクや花柄をデザインしたショッピングバッグ。大人をイメージしたブランドは、光沢あるブラックの紙をベースにキラリとゴールドのロゴ。このように一昔前までのバッグは、ビニール素材にキラキラとしたデザインが多く見られました。紙の表面をツルツルとビニール加工したものが好まれ、私たち消費者にとって、そんなおしゃれなショッピングバッグを持ち歩くことそのものが、ステイタスとされてきました。かわいさやかっこよさを追求したショッピングバッグが、そのブランドのデザイン性を表していたからに他なりません。

しかし近年ではその様子も少し変わりつつあります。 もともと紙袋には再生紙などが使われていましたが、若い世代向けのブランドにまでナチュラル素材が使われるようになりました。これは単に安い素材だからと、コストダウンのために使っているのではありません。それはナチュラルな素材から作られた紙のショッピングバックが、企業からのメッセージに結びつくからではないでしょうか。そのメッセージこそが、私たちにとっての企業イメージとなり、それをよしとする社会になっているのではないかと考えられます。

ショッピング紙袋にみるエシカルな流れ
ナチュラル素材のクラフト紙を使用したショッピング紙袋も多くなってきた

そういえば、若い世代を中心とした渋谷109に出店しているファッションブランドも、ショッピングバッグをキラキラとしたデザインのビニール系からクラフト紙などへとシフトしているというから驚きですね。

エコとエシカルの違いって?

環境を考える…という時に必ず使われる『エコ』という言葉。もとをたどれば『エコロジー(ecology)』からきており、『環境にいい』という意味を持っています。 対して『エシカル(Ethical)』は、『倫理的な・道徳上の』という意味。環境保全や社会貢献といった意味合いが強く、規範に合っているかがポイントのようです。そしてそんなエシカル的な活動を、エシカル〇〇…と表現しています。

例えばエシカル消費。これは地球環境だけでなく社会問題も視野に入れて消費しようという意味。エシカルは環境だけにとどまらず、生産者やその歴史的背景等、さまざまな要素への配慮と社会貢献を含んでいるのです。

3.11以降、支援の一環として行われる被災地の商品の購入などもこれに当たるでしょう。エシカル消費の主体は私たち一人ひとりであり、「購入=主張」なのだと考えてよさそうです。 2011年6月に行われた「エシカル実態調査」によると、エシカルに興味がある人は6割、時代に合っていると感じる人は8割…だそうです。エシカルの認知度が上がれば、その数値はさらにアップすることでしょう。

共存しながら変化するこれからの紙袋

このようなエシカルな流れの一方で、ブランドの紙袋は個性豊かで美しい、デザイン重視のものも健在です。オリジナル紙袋をデザインするビジネスへのオファーも順調だといいます。

最近のオリジナル紙袋の流行は、個性・主張のあるデザインのもの。それを表現するツールとして、ロゴ等のデザインはもちろんのこと、リボンを飾る、口の部分のカッテングを工夫する、色合いにこだわる等、細部にも手を抜かない傾向がみられます。なかには紙袋の正面だけでなく、脇のデザインにもこだわったり、紙袋の内側にインパクトある色を配置する、中身を取り出すとその会社のロゴが見える(内側の底面にロゴを入れる)…といったものも人気だそうです。紙袋とはいえ、まるでひとつの芸術作品のようですね。紙袋は商品に付随するサービス、副素材まで含めて、ひとつのブランド観を作り出していると言っても過言ではありません。

ショッピング紙袋にみるエシカルな流れ

そしてこのようなデザイン性の高い紙袋は、特に女性に人気があります。おしゃれなデザインの紙袋を、サブバッグとして大切に何度も使う人が多いのではないでしょうか。すると、そのブランドの会社はどんな企業なのだろう…と思いませんか? 紙袋をきっかけに、そこから企業の取り組みに興味をもつ人が増える――そんな時代だと思います。

ナチュラル素材の紙袋とデザイン性の高い紙袋、これからも両方は存在していくことでしょう。しかしどちらも、企業の思いを表現しているものである点は共通しています。そこに『エシカル』という考え方が入ることで、紙袋の存在が今後どのように変化していくのか楽しみでなりません。

ハグルマ封筒企画広報部編集

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