コラム「紙と生活」

このコラムでは毎回、日頃の生活で目にする紙の印刷物について取り上げます。
その紙が私たちのライフスタイルの中でどのような存在なのか、
また今後どのようになっていくのかをトレンドやデータを元に様々な視点で考察するコラムです。

最近、「エシカル」という言葉をよく耳にするようになりました。一般的にエシカルとは「倫理的な・道徳上の」という意味で、環境配慮だけにとどまらず、生産者やその歴史的背景など、さまざまな要素への社会貢献を含んでいるのだそう。今回は「エシカル+紙」をテーマに2回に分けて取り上げようと思います。後半の第二回目は紙パッケージにみるエシカルな流れを見てみます。

エシカルな紙パッケージにみる企業の取り組み

ペットボトルキャップもエシカルに

『倫理的な・道徳上の』という意の『エシカル(Ethical)』。社会の役に立っているか、良識にかなう形で生産・流通しているかがポイントです。 前回はショッピング紙袋からエシカルを探りました。今回は紙パッケージからエシカルを考えます。

私たちからみて、チャリティや自然保護活動、発展途上国への支援や女性の地位向上、物を大切にするエコ活動等はエシカル活動と考えられます。身近な例として、環境に配慮した商品を積極的に購入したり、フェアトレード商品を選んだり…。単に消費するのではなく、社会的な問題も踏まえた行動です。

それでは企業はどのようなエシカル活動をしているのでしょうか? 東日本大震災後、ペットボトル飲料が品薄状態になりました。これはボトルキャップが原因の一つ。赤や青などのカラフルなキャップ、その種類は200〜300種におよぶといわれています。震災後はこの個性豊かなキャップが不足し、ペットボトル飲料水が生産できなくなったのです。
このため飲料水メーカーは、キャップを白色無地のデザインに切り替えたり、キャップの共通化への取り組みを始めました。小さなキャップもパッケージデザインとしては大事な要素ですが、部分的にはエシカルに――という方向性の表れでしょう。今後の消費者の反応次第ではこれが主流となるかもしれません。

エシカルな取り組み〜発展途上国の紙を

フェアトレード商品を扱う生活雑貨店やジュエリーショップでは、紙パッケージに発展途上国で作った手すきの紙を使用したり、梱包資材もリサイクルしたものなどできるだけ環境に優しい素材を使用することが多くなってきました。商品を売って終わりなのではなく、環境に配慮している企業の姿勢がうかがえますね。 このようにエシカルな紙パッケージは、素材のストーリーやシンプルさ、そしてパッケージとしてのデザイン性をも追及され、とても興味深いものです。

エシカルな紙パッケージにみる企業の取り組み
素材のストーリーを伝えることも多くなってきた紙パッケージ

では、実際にエシカルな紙パッケージを使用している企業の取り組みを見てみましょう。 化粧品会社・アヴェダ(本社アメリカ)では、化粧品の容器・パッケージにはできるだけ再生素材を使用。アメリカで作るパッケージには、地球に負荷をかけない天然インクを使い、印刷は風力発電を行っている会社に任せています。全てがエシカルを軸に、ぶれることなく一貫していますね。
この会社では2005年から、年末のホリデー用ボックスの紙に発展途上国で作った紙を使い始めました。最初は紙の生産性も低かったのですが、パートナーシップにより雇用が促進されると生産性も向上。このため今年からは限定期間ではなく、年間を通じた通常のギフトボックスとして使用できるようになりました。
現地の人にとって、紙づくりは収入を得るための大きな産業。それを継続的に支援する企業姿勢はとてもすばらしいですね。
ギフトボックス紙の背景にこのような社会貢献の事実を知ったなら、消費者はその思いに賛同し「買ってみよう」と思うのではないでしょうか? それは商品を買う満足感にプラスアルファした、心の満足感を満たすものにほかなりません。これがエシカル消費に深くつながっていくのだと思います。

もう一社、アロマや雑貨を扱うaromamora((株)グライダー)では、商品のレシピカード(説明書)にゾウさんペーパーを使用しています。この紙はゾウのウンチから作られた100%の再生紙。香りを扱うショップがあえてウンチの再生紙を使用しているなんて、とても意外で面白いですね。 「アロマはもともと自然の恩恵にあやかる存在。だから、究極の自然のアロマ=ゾウのうんちを練りこんだ紙をアロマの解説書に使うことで、自然へのリスペクトを表したいと思い、使わせていただいています」…というお話しでした。

しかしながら、いくらエシカルな取り組みをしたいと思っても問題が。エシカルジュエリーのお店からは「紙パッケージをエシカル素材で作りたいが、少ロットで対応してくれる業者が見つからない」という声も聞かれました。エシカル意識が向上している現在、ぜひとも数量に関係なくエシカルな紙パッケージの提供が可能になってほしいものです。

エシカルな紙パッケージがサスティナビリティへ

企業の方針が、環境への配慮や社会貢献に根差していることが伝われば、それは消費者の心に深い共感を呼ぶことでしょう。紙パッケージはそのきっかけとなる存在のひとつなのです。

エシカルな紙パッケージにみる企業の取り組み
古紙から再利用するパッケージ

「あのお店の包装紙ってシンプルだよね」「再生紙のパッケージって環境に優しいね」…最初はそんなきっかけでいいのです。それを「あの会社は社会貢献している」「環境に配慮し運営している」と、購入する側としては一歩踏み込んで理解していきたいものですね。

買い物は個人の考えや思想を表現するための手段とも言えます。「私の考えはこうだから、この商品を買います!」というように、何かを買うことで自己主張できる時代なのだと気づかされます。そしてこうした消費の広がりが、企業のサスティナビリティ(持続可能性)に活かされるのではないでしょうか。

このように考えると、紙パッケージは私たち消費者にとって、一番身近で分かりやすく、企業の社会貢献している姿を伝えるものなのかもしれません。

ハグルマ封筒企画広報部編集

ご協力いただいた企業:
アヴェダ http://www.aveda.co.jp/
aromamora http://www.aromamora.jp/

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