コラム「紙と生活」

このコラムでは毎回、日頃の生活で目にする紙の印刷物について取り上げます。
その紙が私たちのライフスタイルの中でどのような存在なのか、
また今後どのようになっていくのかをトレンドやデータを元に様々な視点で考察するコラムです。

お買い物をする度に必ず手にする紙と言えばレシート。皆さんも毎日のように手している紙の一つではないでしょうか。今回はこのとても地味な存在のレシートについて、意外なお話や新しい取り組みなどをご紹介します。

人と人をつなぐ紙 レシートの新しい可能性

買い物で賞金ゲット!台湾のレシートくじ

台湾へ旅行にいった知人の話を聞いて驚きました。なんと台湾のレシートは「くじ」になっているそうです。スーパーで買い物をしてもらう細長いレシートは「統一發票」と言われ、8桁の数字が印刷してあります。その番号が宝くじ(レシートくじ)になっているのです。特等は200万元(約2600万円・2012.4現在)とか。特等の下には1等20万元(約260万)から6等200元(約2600円)までが続きます。買った物が少なくても、台湾のレシートは日本に比べて少し長め。それもそのはず、裏面には、抽選日、換金場所、住所・氏名・電話番号の記入欄等、くじに対する注意書きが書かれているからだそうです。

ではどうしてレシートを宝くじにする発想が生まれたのでしょう。もともと台湾では、領収書やレシートを発行する習慣が普及しておらず、脱税するお店が多かったといいます。そこで脱税防止策として台湾政府が考えたのが、レシートくじでした。レシートを宝くじにすれば、買い物客はみんな「レシートください」と欲しがるようになり、店はレシートを発行しなければならなくなります。発行したレシートは記録が残り、売上額がごまかせなくなるのですから、実に効果的な脱税防止策ですね。 見事政府の策が功を奏して、宝くじつきのレシートはどんどん普及し、脱税する店が少なくなったそうです。

ちなみに、レシートくじ当選番号は2か月ごとに新聞に掲載され、当選金額が少なければ、簡単に銀行で換金できます。もちろん外国人でも当選すれば賞金を受け取ることができますから、台湾旅行の楽しみのひとつとして頭に入れておきたいですね。買い物ついでに受け取る紙のレシートが、思いがけないワクワク感をもたらしてくれるのですから…。

領収書の意味をもつレシート

ところで、もらったレシートをよく見ると、「領収書」と書いてあることにお気づきですか?領収書とは、金銭を受け取ったことを証明する証書。売買の際に、お金を払ったか否かの紛争を避けるために、実際にお金の授受があったことの証拠書類となるものです。領収書は金銭授受の覚書であり、後のトラブルを避ける意味でも、極力努めて発行したほうがいいものなのです。

しかし、必ず発行しなければならないかというと、決してそんなことはありません。近所の店で買い物をしたときに、お釣りだけもらってそれでおしまい――という売買でも法的にはなんら問題はないのです。でも買い物客から「領収書をください」と請求された場合には、お店側は領収書を発行しなければならないという法的な義務が生じます。つまり、領収書は請求することができ、請求されたら発行しなければならない書類なのです。

コンビニなどで買い物して、気軽に受け取って、そのままゴミ箱へポイっと捨ててしまいがちなレシート。しかし法的な側面から見ると、小さな紙一枚の中に、重い意味が宿っているのだと気づかされます。

紙裏メディアとしてのレシート

さて近年日本では、「紙裏メディア」と呼ばれるものが登場しました。いわゆるレシートに書かれた広告などを指しています。

買い物時に手渡しされるレシートは、スーパーやドラッグストア・飲食店など、様々な店舗で来店者に手渡しで配布されるのですから、企業と消費者との確実な接点に当たります。 手から手へ、直接手渡されるダイレクトなメディア。スーパーやドラックストアでは、ポイントカードのポイント表示や、家計簿、節税対策の証明用に、非常に高い確率でレシートが持ち帰られ保管されているようです。 さらに、レシートからHPへ誘導したり、メルマガを配信するなど携帯と連携したプロモーションが展開できます。

2009年に行われたアンケートによると、レシート裏面の広告に気づいたかという問いに対し、気づいた84%、気づかない16%でした。さらに、裏面に広告のあるレシートの保持率を調べたところ、レシートを持ち帰る78%、捨てる22%――という結果が出ています。

人と人をつなぐ紙 レシートの新しい可能性

人と人をつなぐ紙 レシートの新しい可能性

レシートは、店側としては効果の高い広告であり、購入者としては情報提供をしてもらえたり、何かが当たったりと、ともにメリットがあると考えらますね。

この双方へのメリットに、温かみのある新たな付加価値をつけた『デザインレシートプロジェクト』を推進している会社をご紹介しましょう。この会社では、レシートを受け渡す=人と人をつなげるためのコミュニケーションツールである…という考え方をもとに、レシートの裏を有効活用して、新しいコミュニケーションツールに発展させようとしています。レシートを単なる広告としてとらえるのでなく、手から手へ、心や気持ちをつなげていくのだという考え方です。これは電話やメール、パソコンの普及等で、人と接しなくても物事が済んでしまう現代だからこその発想ではないかと思います。

人と人をつなぐ紙 レシートの新しい可能性
レシートの裏を有効活用した『デザインレシートプロジェクト』

無機質的な数字の紙――ともいえるレシートの、新たな価値(役割)に期待したいものです。 現在、レシートは広告としての効果が脚光を浴びています。しかしその流れの中で、人と人を結ぶツールとして進化しつつあるのでしょう。一方で、個人にとっては、コレクションや旅の記念のアイテムにもなります。このように幅広く、その役割を発展させる紙も珍しいのではないでしょうか。

ハグルマ封筒企画広報部編集

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