コラム「紙と生活」

このコラムでは毎回、日頃の生活で目にする紙の印刷物について取り上げます。
その紙が私たちのライフスタイルの中でどのような存在なのか、
また今後どのようになっていくのかをトレンドやデータを元に様々な視点で考察するコラムです。

ローマ時代からはじまった新聞の歴史。後編では新聞の印刷技術について学んでいきましょう。

毎日届く情報誌 新聞の秘密

日露戦争をきっかけに新聞業界は大きく拡大を見せます。各社が競い合い、号外が1日に何度も発行されたとか。明治30年代には、都市部だけでなく地方でも輪転機が普及したため、ぐんと発行部数が伸びました。当時は勿論メールもありませんから、記事や写真を伝書鳩にくくりつけ「鳩便」で運搬していました。新聞社の多い銀座・有楽町界隈では屋上でたくさんの鳩を飼っていたといいます。

新聞に欠かせない四コマ漫画についても触れてみましょう。アメリカで19世紀に流行っていた風刺画を日本に持ちこんだのは今泉一瓢(いっぴょう)という漫画家。風刺画ではなく漫画と名付けたのも、さらに四コマという形にしたのも彼なのです。その後、大正時代には各紙が揃って漫画を掲載するようになりました。手塚治虫も1946年に新聞漫画によってデビュー。ほぼ同じ時期にアメリカではチャールズ・M・シュルツによる「ピーナッツ」が連載をスタートさせており、新聞と漫画の相性の良さを改めて感じます。


とっても重そうな巻き取り紙

新聞の印刷技術はどうでしょうか。現在のようにデジタル管理が行われるまでは、記者が手書きで書いた原稿を、一字ずつ活字を拾い、凸版印刷が行われていました。1960年代頃になるとようやく写植技術が進み、活字を使わずに新聞が制作されるようになっていきます。

現在では「新聞オフセット機械」で印刷されています。この印刷方法は、水と油が反発しあう性質を利用した印刷方法です。印刷に使う紙は巻き取り紙といわれ、巨大なトイレットペーパーのような形をしています。1本を伸ばすと長さは約16km。 重さは約1.2tで、これは乗用車1台分とほぼ同じ。コンピューターの指示により輪転機に紙がセットされ印刷を始めます。


ギザギザは世界共通

さて、新聞の端っこがギザギザになっていることに不思議を覚えたことはないでしょうか。新聞の印刷は、すべてのページを刷り終えた後に、全ページを重ねて一気に裁断します。分厚い紙の束を、美しく切りそろえるにはまっすぐな刃よりギザギザの刃の方が滑適しているのだとか。そのため、新聞紙の上下はギザギザの刃型が残っているという訳です。また、裁断する時に重ねた紙がずれないよう針を刺して引っ張るのも新聞印刷の特徴。そのときにできるのが下の端にあいた穴です。次に新聞を手にとる際には、ぜひ観察してみたいですね。

新聞はその内容を大きく変えることなく、私たちの日常に深く根付いてきました。20世紀には発行部数が世界でもトップクラスでしたが、近年は電子化が普及し、新聞離れが進んでいる日本。それでも災害時には実力を発揮するのが紙メディアの特徴です。久しく読んでいないという方も、改めて手にとってみませんか。

ライター峰 典子

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