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コラム「紙と生活」

時代とともに形を変える本の歴史(日本編)

  • 本の歴史
2017/12/01

「昔の日本の本」と言えば、和本。今回はどのような経緯で和紙を糸で綴じた形に行きつき、そして現在主流となる西洋式製本を取り入れるに至ったのか、その変遷をご案内します。

時代とともに形を変える本の歴史(日本編) <7世紀頃>始まりは巻物の形
日本に紙が伝わったのは610年頃、高麗の僧、曇徴(どんちょう)がもたらしたと言われています。
それまでは短冊状になった木や竹(木簡・竹簡)に文字を書き記していて、長い文書になるとそれぞれの短冊を糸でつなぎ、巻いて保管していました。
そして製紙法が伝えられると、紙を継ぎ合わせて木の軸に巻きつけ、巻物にしたものが正式な文書として扱われるようになりました。
この巻物の形を「巻子本(かんすぼん)」といいます。
巻子本は、木や竹に比べて保管場所を取らないというメリットはありましたが、ページ数が割りふられていないため、読みたいところを探すのが大変だったり、開いたあとまた巻き直さないといけない、といったところが不便な点でした。
ちなみに、シリーズものの本を1巻、2巻と数える数え方は巻子本からきています。

<8~16世紀頃>和本と木版印刷の基礎を確立
読みたいところをすぐ開けるように、と巻子本の問題点を改善した形が「折本」です。
紙を一定の幅でアコーディオン状に折って冊子にしたもので、今では御朱印帳などにこの形を見ることができます。
しかし折本は何度も繰り返し使用すると、折り目のところから切れてしまうというところが難点でした。
そこで、何枚かの紙を重ねて糊付けしたり、糸で綴じる「冊子」の形が普及するようになったのです。
冊子としてまとめる製本法はいくつかあるのですが、紙を二つ折りにする袋綴じが明から伝わると、その製本方法が明治の始めまで続く和本の基本の形として用いられるようになりました。
さらに鎌倉・南北朝時代には木版印刷術も確立し、次の時代に起こる出版ブームを支えていくこととなります。
時代とともに形を変える本の歴史(日本編) 画像上:右が和本の基本的な形となった四つ目綴じ。左は康煕(こうき)綴じ。背部分の角のめくれ防止と装飾の要素もある綴じ方。

<17~19世紀後半>出版文化が花開いた江戸時代
先の時代、木版で刷られた本の多くは仏典や漢籍であり、寺社が本作りの担い手でした。
ところが江戸時代に入るとその技術と役割は職人と商人の手に移り、読者層の広がりを背景に「売れる本作り」が考えられるようになります。
たとえば、辞典、実用書、旅行ガイドブックなどさまざまなジャンルの本が出版され、中でも浮世草子や草双紙といった娯楽性のある読み物は特に人気を博しました。
また、物語に挿絵を入れたり、表紙に模様や型押し(空押し)を施したり、豪華な錦絵を使ったものが作られるなど、人の目を引くためのさまざまな工夫も盛り込まれました。
加えて、江戸時代は書店や貸本屋といった本を扱う商売も日本各地で始まります。
それに比例して人々が本に触れる機会が増えたことも、出版文化が発展する一因となりました。
時代とともに形を変える本の歴史(日本編) 画像上:犬の絵が表紙に描かれた「南総里見八犬伝」。よく見ると題簽(だいせん‐タイトル)のところにも犬の足跡の模様が入っている。

<19世紀末期~現在>西洋式製本への移行
文明開化でさまざまなものが西洋化した明治時代、本も和本から洋装本へと形を変えていきました。
まず印刷が木版から金属活字に変わり、見た目は和本のまま中身が活字で印刷された和洋折衷の本が作られます。
その後、板紙を表紙に使ってハードカバーの体裁を真似たものや、ペーパーバックのような紙装本などの過渡期を経て、明治時代の後半に現在流通している本とほぼ同じ形になりました。
しかし、西洋式製本の機械化には少し時間がかかり、しばらくの間は職人による手作業で行われていました。
明治25年に断裁機が輸入されたのを皮切りに少しずつ機械化が進み、国産の製本機械が使われるようになったのは大正時代のことでした。
その後、戦争で出版業は一時停滞するものの、戦後の復興で息を吹き返し、技術がさらに進んで本の生産性向上が実現すると、再び多くの本が出版されるようになったのです。

しかし右肩上がりだった出版業界の売上も近年では減少傾向にあります。
その中で新たな本の形として電子書籍が誕生した今現在というタイミングは、次の時代への過渡期と言えるのかもしれません。
これから本がどんな時代を迎えるかは、私たちの目で確かめていくこととなりますが、長い歴史を経て培われてきた豊かな出版文化は大切にしていきたいですね。

文・松本みずほ



参考書籍:
「図説 本の歴史」 河出書房新社
「和本入門」 平凡社
「本と装幀」 沖積舎

画像協力:
古本と手製本ヨンネ http://yon-ne.com/

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