コラム「紙と生活」

このコラムでは毎回、日頃の生活で目にする紙の印刷物について取り上げます。
その紙が私たちのライフスタイルの中でどのような存在なのか、
また今後どのようになっていくのかをトレンドやデータを元に様々な視点で考察するコラムです。

前回は「牛乳パック」の歴史について紹介しました。今回は後編として、より深い牛乳パックの世界へ案内します。

牛乳パック、デザインの秘密(後編)


世界で愛される屋根型パック

牛乳パックの上部に、半円状の切り込みがあることをご存知でしょうか?何気なく毎日見ているものの、その意味について知っている方は少ないのでは、と思います。実はこの切り込みは、目の不自由な人に対する目印なのです。1995年に食品団体が行った調査で、視覚障がい者やお年寄りが紙パック飲料の違いを見分けにくいということがわかり、とりいれられたアイディア。現在では、国内で生産されるほぼ全ての牛乳パック(成分無調整牛乳に限る)に切り込みを見ることができます。


開け口は切り込みの反対側という決まりも

底辺に目を向けてみると、中央部にへこみを確認できるでしょう。このへこみがあることで安定性が増し、倒れにくくなるのだとか。また、棒状の型押しが複数見られます。これは、つなぎ目がやぶれることを防ぐため、強化目的でつける「ダム」というエンボス。さらに、英数字のエンボスや印字を見つけることができるかもしれません。これは工場で製造機械を見分けるためのもの。なにかトラブルがあった場合にすぐに調査できるように押されています。


底部をじっくり見てみよう

牛乳パックに欠かせない話題のひとつ、リサイクルに関しても触れておきましょう。
前編でご紹介したように、バージンパルプからつくられているので、牛乳パックの素材はとっても上質。しかし、紙に牛乳が付着したままだと腐ってしまうためパルプを抽出することが難しく、80年代半ばごろまではやむなく処分していたといいます。

現在のように、洗った牛乳パックを回収するという方法は、実はひとりの主婦の声から生まれたもの。世界でも例のなかった牛乳パックのリサイクルですが、現在では「洗って開いてリサイクル」という標語が印字されるまでになりました。


マークの印字は義務ではなく、メーカーの自主採用

牛乳パックを6枚リサイクルすることで、1個のトイレットペーパーに生まれ変わらせることができます。その量は、年間2億個を超えるほどです。2013年度の調査によると、回収された紙パックの量は106.3千トン、回収率は44.6%でした。リサイクル量は増えており、飲料・製紙メーカーはリサイクル率50%を目指しているといいます。(全国牛乳容器環境協議会調べ)

前半でも触れましたが、牛乳パックは木材から作られているため、上質な素材といえます。飲んだ後に捨ててしまうにはとても惜しいものです。リサイクルは一度やってしまえば、そう面倒でもありません。飲み終わったあとのパックをゆすいで、開いて乾かす。買い物のついでに、スーパーなどの回収場所に持っていきましょう。ゆすいだ際の水は観葉植物へ。節水だけでなく、肥料にもなるすぐれものです。

ライター 峰 典子

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