年末年始休業とご注文納期について
  1. トップ
  2. 羽車について
  3. コラム「紙と生活」
  4. 【前編】和菓子を包むパッケージとしての和紙~選ばれた理由や歴史を辿る~
年末年始休業とご注文納期について

【前編】和菓子を包むパッケージとしての和紙~選ばれた理由や歴史を辿る~

2025/12/23

  • 和菓子
  • 和紙

日本で生まれ、今もなお多くの人に愛されている和菓子。味は勿論ですが、見た目の美しさや繊細さにも惹かれます。そんな和菓子を包んでいるパッケージには、「和紙」が使用されていることが多々あります。前編となる本記事では、「和菓子を包むパッケージとしての和紙」の歴史に注目してみましょう。

【前編】和菓子を包むパッケージとしての和紙~選ばれた理由や歴史を辿る~


そもそも、なぜ和紙が和菓子の包装に使用されているのかというと、古くから日本の文化や伝統に合わせて作られてきたことも理由かもしれません。職人の細やかな技が光る和菓子の良さを、より引き出すためには、同じく日本の文化や伝統に合わせて作られた和紙がぴったりなのです。そして、もうひとつの理由として「表現の幅の広さ」も考えられます。控えめではあるけれど繊細さと上品さを合わせもっていたり、素朴な風合いを活かした素材があったり、一括りに「和紙」といっても材料や製造方法によって全く異なる表情を見せてくれます。そのため、用途やテーマによって和紙の種類を変えることにより、多様な表現が可能になるのです。また、これは和菓子以外に使用する場合も言えるのですが、和紙は楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)など植物の繊維から作られているため、環境に優しい素材です。そのような点から、現代においても見直され、愛用されているのではないでしょうか。

【前編】和菓子を包むパッケージとしての和紙~選ばれた理由や歴史を辿る~

画像:さまざまな折形

それでは、和紙が和菓子のパッケージに選ばれる理由を理解したところで、続いては「包む」という点に注目してみましょう。和紙で包む文化は、いつ頃浸透したのでしょうか。

諸説ありますが、和紙を使用し包む文化がさまざまな身分の人に広がったのは、江戸時代からだと言われています。これは、武家社会の「折形(おりがたとは、和紙に包んで進物を渡す礼法および、儀式に使用する和紙でできた飾りの総称)」が関係しているようです。江戸時代に入り江戸や大阪を中心に商人文化が発展すると、武士の経済的な基盤が揺らぎ、次第に仕事を失っていきます。その時に、これまで武家の間のみで使用されていた「折形」が、寺子屋などで教えられるようになり庶民にも浸透していったのです。加えて、全国の農家が「紙漉き」を副業にし始めたことにより、和紙も一般に普及していきます。この、折形の浸透と和紙の普及もあり、「和紙で物を包む文化」が幅広い層に広がっていったと考えられます。

ちなみに当時は、相手との関係性や品物の格によって折形に使用する和紙の種類を変えていた、という記録もあるようです。和紙は、大高檀紙、小高檀紙、大引き合わせ、小引き合わせ、杉原紙などが使用されていました。檀紙(だんし)とは、楮(こうぞ)を原料に作られた高級和紙になります。白色で厚みがあり、ちりめん状のしわが特徴です。『源氏物語』や『枕草子』の中にも登場するため、名前を目にしたことのある方もいるかもしれません。そして、和紙名の前に付いている「大高」と「小高」は、紙の大きさや厚みを意味します。続いての「引き合わせ」は、今でいう「奉書紙(ほうしょし)」のことです。

最後に「杉原紙(すぎはらがみ)」とは、兵庫県で生産されている手漉き和紙になります。和紙の中でも際立つ自然な白さと、柔らかい紙質が特徴です。以前は国内上位の生産量を誇っていましたが、原材料である楮の入手が困難になったり洋紙産業が本格化したりと、さまざまな理由が重なり明治時代末期に産業が途絶えたこともありました。しかし、1970年(昭和45年)に当時の技術や技法を用いて再現され、杉原紙は復活を遂げたのです。このように折形には、多様な歴史をもつ和紙が使用されていました。

【前編】和菓子を包むパッケージとしての和紙~選ばれた理由や歴史を辿る~

画像:タンス型の貼り箱に入った干菓子

今回は、和菓子のパッケージに和紙が好まれる理由と、歴史にスポットを当ててお伝えしました。どちらも古くから日本で作られており、表現の幅が広い点や環境に優しい点から、パッケージの素材として選ばれている和紙。また、歴史の面でも、武家社会の礼法がもとであることに驚かれた方もいるのではないでしょうか。もし和菓子を手にとる機会があった際は、パッケージにも注目してみてください。きっと、新たな発見があるはずです。そして後編となる次回は、和紙を含む紙素材のパッケージデザインについてご紹介します。


文・鶴田有紀


--------------------------------------------------

〈参考文献〉
・家庭で出来る「桑枝」を原料とした和紙の作り方|群馬県
https://www.pref.gunma.jp/page/20737.html
・――第16回開催記録――フォーラム 「京菓子と包材」|京都外国語大学
https://www.kufs.ac.jp/toshokan/gaidaisai/pastgakusai16.htm
・杉原紙|兵庫県
https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr09/ie07_000000029.html
・歴史|杉原紙の里
https://sugiharagami.takacho.net/history/

 

各商品のトップページ

お問い合わせ窓口

HAGURUMA STORE カスタマーセンター

10:00〜18:00 土日祝 休

電話 0120-890-982
メール info@haguruma.co.jp
フォーム
株式会社 羽車は封筒・紙製品・印刷物の製造販売を行っています。1918年に大阪で創業しました。

株式会社 羽車は封筒・紙製品・印刷物の製造販売を行っています。1918年に大阪で創業しました。

大阪府堺市の本社工場では封筒生産機と印刷機を中心に70台を超える機械が稼働しています。
人と地球環境に優しく、 安心してお使いいただける魅力的な商品をご提供します。

各商品のトップページ

お問い合わせ窓口

HAGURUMA STORE カスタマーセンター  10:00~18:00 土日祝 休

電話
0120-890-982
メール
info@haguruma.co.jp
株式会社 羽車は封筒・紙製品・印刷物の製造販売を行っています。1918年に大阪で創業しました。

株式会社 羽車は封筒・紙製品・印刷物の製造販売を行っています。1918年に大阪で創業しました。

大阪府堺市の本社工場では封筒生産機と印刷機を中心に70台を超える機械が稼働しています。

人と地球環境に優しく、 安心してお使いいただける魅力的な商品をご提供します。