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百貨店の包装紙 伝統と変遷(後編)

2020/02/28

  • 包装紙

華やかでオリジナリティーに富んだ包装紙は、百貨店のシンボルともいえます。現在に繋がるデザインは戦後に考案されました。
後編は、日本で初めてオリジナルデザインを採用した三越の包装紙から、百貨店の包装紙の伝統を読み解きます。

百貨店の包装紙 伝統と変遷(後編)

画像上:三越のオリジナルデザインの包装紙「華ひらく」

日本に百貨店が誕生した明治時代から戦後にかけて、各百貨店で使われていた包装紙は、主に「ハトロン紙」という薄茶色の丈夫な西洋紙でした。
現在のような華やかなデザインとは異なり、その見た目は慎ましやかなものだったのです。

そんな包装紙事情を一変させたのが、戦後間もない1950年、三越によって生み出された日本で初めてのオリジナルデザインとなる包装紙です。
三越が包装紙にオリジナルデザインを採用した背景には、「戦後の世の中を少しでも明るくしたい」という思いと、「これからの時代は包装紙にも自分たちをアピールするようなインパクトが必要だ」という考えがあったといいます。

デザインは、画家・猪熊弦一郎が手掛けたもの。
当時の三越宣伝部の社員であり、後に漫画家となるやなせたかしが「mitsukoshi」のロゴを書き入れて完成した包装紙は、「華ひらく」と名付けられました。

そして、この「華ひらく」をきっかけに、各百貨店が独自の個性を表したデザインの包装紙を生み出していったのです。
誕生から半世紀以上たった現在でも変わることなく愛され、百貨店の包装紙を語る際に欠かせない存在となった、「華ひらく」。
そのデザインの特徴を、読み解いてみましょう。

百貨店の包装紙 伝統と変遷(後編)

画像上:「華ひらく」の原画

包装紙のデザインは、「包む」姿と「ひらく」姿の両方を想定しながら、見る人が華やかな気持ちになれるよう考案されました。

百貨店の包装紙 伝統と変遷(後編)

画像上:「華ひらく」のデザインのモチーフは石

猪熊弦一郎は、千葉の犬吠埼を散策していたときに海岸で荒波に打たれる石を見て、「波にも風にも負けず頑固で強いこと」や「自然の作る造形の美しさ」を感じ、デザインのインスピレーションが湧いたといいます。

そうして生まれたのは、斬新かつシンプルなデザイン。
「スキャパレリレッド(※1)」という色を使うことで、ぱっと目を引くインパクトのあるものに仕上げられました。
包んだときも、モノを引き立ててくれるのが、「華ひらく」の魅力です。

また、三越は「華ひらく」のデザインを包装紙に留まらず、タオルやお菓子の缶などあらゆる品物に活用してきました。
伝統あるデザインを、形を変えて新たなアイテムとして人々のもとに届けることが、長く親しみ愛され続ける理由のひとつなのかもしれません。

百貨店の包装紙 伝統と変遷(後編)

画像上:2014年にリニューアルされたショッピングバッグ「実り」

包装紙のデザインは受け継がれる一方、2014 年にはショッピングバッグのデザインが刷新されました。
2014 年は、三越が「デパートメント宣言」をして日本で初めての百貨店となってから110 年を迎える節目の年。
次の100 年への新しいシンボルとして、友禅作家であり人間国宝の森口邦彦(※2)がデザインを手掛けました。

「白地位相割付文 実り」と題された着物のデザインを、ショッピングバッグという立体物に合わせて新たに染め上げ作り上げられました。
日本らしく、斬新さも兼ね備えたこのデザインは、これからどのような伝統を築いていくのでしょうか。



文・松尾友喜

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※1 ファッション界で初めてショッキングピンクを使ったと言われるファッションデザイナー、エルザ・スキャパレリの大胆な色使いに倣った鮮やかな赤色
※2 森口邦彦の「邦」の異体字は、ブラウザで正しい表記ができません。正しくは、「邦」の縦の払いが上に突き出ません

取材協力・画像提供:株式会社三越伊勢丹ホールディングス

参考文献:
『絵とき百貨店「文化誌」』宮野力哉著/日本経済新聞社

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